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各種空力特性の考察 その2 スタント機の主翼の平面形

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さてさて、各種空力特性の考察 その2 として、Uコンスタント機の主翼の平面形について考察してゆきたいと思います。
ちなみに、図面は、近代スタント機の代表「インパクト」です。(パチパチ)
 
まずは、基本から、主翼の平面形を「計測する」ための基準について示します。
主翼中央翼弦長、主翼翼端翼弦長、翼長(内翼分)、前縁後退寸法、後縁前進寸法、フラップラインが判明すれば、主翼の平面形の作図ができます。(あと翼端のラインですか(笑))
また、重心位置は、中央翼弦長の前縁から?mmと指定されていることが多いですね(笑)
これらの要素で機体を作成することはできますが、機体の性能解析のためには、まだ、役不足といったところでしょうか(笑)
 
そこで、標準化された比較の基準となる、「平均翼弦長」、「後退角」、「重心位置」、「アスペクトレシオ」「テーパー比」を求めます。
この5要素を求めることで大きさの異なる機体でも「同一の基準」で計測することができるようなり、様々な機体を「同様に」比較することが可能となります。
 
求め方は、以下のとおり
 
1)平均翼弦長
定義は、「片翼の半分の面積の位置を貫く翼弦長」にでもなるのでしょうか?(笑)
作図で求めるには、図面の青字、青線の作図で求めています。
もちろん矩形翼の場合は、中央翼弦長と一致しています。
 
2)後退角
作図で求めるには、図面のピンクの文字、線で求めています。
中央と翼弦長の25%の位置を結んだ直線と垂線の角度で求められます。
なぜ25%なのか?は、航空力学の本で、そう定義されているからです(笑)
たぶん、便宜的ではありますが、翼弦長方向で抵抗の平均が25%付近になるからでしょう、と解釈しています。
 
3)重心位置
平均翼弦長に対して、「前縁から何%の位置にあるのか」で求めます。
中央翼弦長ではありません。主翼の後退角の度合いにより、微妙に割合が変化するためです。
工作や、計測のしやすさから便宜的に中央翼弦の前縁から何mmと表現されていることが多いのですが、
やはり、平均翼弦長を求めて正しく重心位置の数字を求めるようにしないと、他の機体との比較が正確にならなくなりますね(笑)

 
4)アスペクトレシオ
いわゆる縦横比と呼ばれるものです。
求める式は以下の通りです。
アスペクトレシオ=主翼面積/(平均翼弦長×平均翼弦長)
となります。
 
5)テーパー比
中央翼弦長と翼端翼弦長の割合を示します。
テーパー比=翼端翼弦長/中央翼弦長
値が大きいほど、テーパー比が大きくなります。
 
それでは、後退角とアスペクトレシオの性能に関する傾向をUコンスタント機に照らし合わせて見ましょう。
 
1)後退角とその性能の影響
後退角が大きいほど、直進性に優れた傾向が出てきます。
特に、Uコンスタント機では、角物のコーナーターンの抜けで大きく性能差が出るようで、
後退角が大きいと、ヨーイング軸のふらつきを押さえ、見苦しくなくコーナーターンを抜けるようになります。
一方、矩形翼のような後退角がない(少ない)機体は、コーナーターンの抜けで、ヨーイング軸方向に翼端をフラフラさせながら抜ける傾向があり、やはり、見苦しさを感じますね。
一方、後退角が大きすぎると翼端失速を起こしやすい傾向が発生し、今度はコーナーターンの抜けで、ローリング軸方向にフラフラさせながら抜ける傾向があり、やはり、見苦しさを感じます。
近代スタント機は、その兼ね合いから後退角を洗練して決定してきた傾向があります。
ちなみに、 テーパー比が大きいほど、後退角が大きくなりますね(笑)
 
2)アスペクトレシオとその性能の影響
アスペクトレシオが大きいほど、コーナーターンが鋭く回ることができる傾向があります。
主翼としての揚抗比が大きくなるためです。
ただし、抗力が減る分、機体が加速気味でコーナーターンを抜ける傾向が強くなってきます。
加速気味で抜けるのが好みの方は、それでよいのですが、私のようなドンくさい人間は、コントロールが難しくなってきます(笑)
 
気をつけないといけないことは、レイノルズ数との兼ね合いです。
翼弦長が短く、速度が小さくなるほどレイノルズ数が小さくなりますが、そうなると、主翼の翼型の特性が極端に変化してきます。
(極端に翼型特性が変化するレイノルズ数を「臨界レイノルズ数」と呼んでいます)
臨界レイノルズ数を跨ぐと、抵抗係数が大きくなり、揚力係数が小さくなる傾向が出てきます。
そうなると、アスペクトレシオが小さいほうが、かえって揚抗比が大きくなる、なんてことが発生してきます(笑)
大型スタント機では、それほど気にすることはありませんが、小型スタント機(15クラス以下)では、この傾向が顕著に出てきますので注意が必要です。
 
3)テーパー比とその性能の影響
テーパー比が大きいと、その分、翼端翼弦長が短くなります。
結果、翼端失速を招きやすくなります。
また、小型機ほど、レイノルズ数の影響が大きいので、翼端失速を助長したり、翼端の揚力不足の傾向が出てきて翼端錘に振り回される傾向が出てきます。
 
近代スタント機は、これらの特性から妥当となるところを求めてきて、現在の主流となる平面形に落ち着いてきていると考えています。
勇気のある方は、さらなる進化した平面形を求めて、いろいろテストしてみることに期待しています。
 
とりあえず、主翼平面形の設計ポイントのさわりの部分について記述してみました(笑)
「そういえば、そんな経験があるよな」なんて方は、注意深くスタント機を観察している方ですね。

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