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15クラス練習機を作ろう 分析 4)背面飛行練習に向いた機体の特性を明らかにする。(番外編)

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前回のブログ記事で、背面飛行練習に向いた機体の特性を明らかにしましたが、実は、別の「進化」の過程を辿って、背面飛行を習得した方も多いことをご紹介しましょう。
 
よく言われることですが、Uコン飛行機には「好みの重心位置」がある、と言われます。
私の見立てでは、「好みの重心位置」というのは、大きく両極端に分けると、
1)後重心が好みの方
2)前重心が好みの方
の2種類に分かれるようです。
 
イメージ 1
D級検定合格に向けて開発された、専用練習機として有名な機体に、DQ MASTERがありますね。(作成して飛行させました)
 
イメージ 6

DQ MASTERの設計重心位置の記述は、大変特徴があって、設計重心位置は
8%~25%
と幅広く指定されています。
 
どんな模型飛行機でも、重心位置を、このように幅広く指定していることはありません。
これは、Uコンスタント機に限った、特異な現象、ともいえますね。
 
 
DQ MASTERは、長年の経験と実績を積んでこられたMNT氏の設計によるもので、
あえて、重心位置を幅広く指定されたのは、ある意味、「好みの重心位置」というのがあって、どちらのユーザーの方でも良好に飛行させることができます、ということを表しているのかもしれませんね。
すばらしい、設計だと、あらためて感じてしまいます。
 
 
まず、基本となる、同じ飛行機で重心位置を大きく前後させた場合、どうなるのか?
を説明しましょう。
1)後重心の特徴
重心位置は後方になるほど、舵の利きが敏感になります。
その分、飛行機の自立安定性の効果は弱くなってきます。
2)前重心の特徴
重心位置が前方になるほど、舵の利きが鈍くなります。
その分、飛行機の自立安定性の効果は強くなってきます。
 
初心者の方が、自分の腕前にあわせて、機体の舵の利きを変更したい、と考えた場合は、
重心位置を前後させて、「自分の好み」にあわせる、というのは、とても大切な調整方法となりますね。
 
 
さて、背面飛行を習得するにあたり、「自分の好みの重心位置を見つける」という大切な儀式が発生します。
そのへんについて、分析してみましょう。
 
 
1)後重心で飛行させる機体の特徴 (「操縦安定性」を重視した機体)
重心位置は、約20%~25%(運動性が良くなる、安定性は悪くなる、中には30%まで後方に下げる方もいらっしゃいます)
水平尾翼は小さめ(大きい水平尾翼は、運動性を下げるので嫌われる)
ハンドルは大きめ(操縦安定性を高めるためには大きいほうがよい)
舵角は少なめ (舵は充分に切れるので、少ないほうが飛ばしやすい)
という特徴があります。

 
舵の切れの感覚は、言葉で表現すると、「ピクピクと切れる」といった感じでしょうかね。
このような機体は、ハンドルの操縦に敏感に反応しやすい傾向があります。
 
そのような敏感な飛行機ですが、安定性については別物で、きちんと安定して飛行します。
Uコンは、機体が上下に移動すると、自動的に当て舵を打ってくれます。
(水平飛行ではハンドルを縦にした場合、背面飛行ではハンドルを逆さまにした場合)
 
一方、背面飛行では、機体が上下に移動すると、自動的に逆当て舵を打つことになります。
これは、機体の揺れを増幅することになりますので、不安定となりやすいことを表します。
これを避けるために、背面飛行では、ハンドルを持つ手の角度を回転させて、
手の甲を上にする、手の甲を下にする、手を反対に捻る、といった工夫があります。
 
私は、このタイプの機体を、操縦技術により安定性を確保することを重視した機体
つまり、「操縦安定性」を重視した機体、と呼んでいます。
 
もともと、アメリカから輸入されたUコン飛行機は、このタイプの機体が多く、古いキットに多い操縦特性に思います。
 
このタイプの機体に向いた方は、「運動神経が敏感な方」が向いている、と言われています。
 
写真は、私が「操縦安定性」を重視した機体、の代表と考える プリンスです。
イメージ 2
 
 
2)前重心で飛行させる機体の特徴 (「自立安定性」を重視した機体)
 
重心位置は、約8%~15%(運動性は悪くなる、安定性はよくなる)
水平尾翼は大きめ     (舵が切れるようにするため、必然的に大きくする必要がある)
ハンドルは小さめ     (操縦安定性を低めても大丈夫になる)
舵角は大きめ       (舵角を大きくしないと充分に舵が切れない)
という特徴があります。
 
舵の切れの感覚は、言葉で表現すると「スコンと切れる」といった感じでしょうね。
このような機体は、腕の力を抜くと、自然に真っ直ぐ飛ぶ傾向が強くなります。
機体が上下に移動すると、自動的に当て舵を打ってくれますが、あまり反応しないようになります。
 
私は、このタイプの機体を、飛行機自体の安定性を高めることを重視した機体
つまり、「自立安定性」を重視した機体、と呼んでいます。
 
このタイプの機体は、最初は存在しませんでした。
日本で独自に発展したように思いますが、有名な機体としては、H師範のスーパーハリケーン4Bがありますね。
 
このタイプの機体に向いた方は、「運動神経が鈍感な方」が向いている、と言われています。
 
写真は、私が「自立安定性」を重視した機体、の代表 と考える、ハリケーンです。
イメージ 3
 
 
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さて、初心者の方は背面飛行を習得するときに、「操縦安定性」を好みとするのか、「自立安定性」を好みにするのか、
の分岐点にさしかかります。
 
水平飛行は、「操縦安定性重視」の機体でも「自立安定性重視」の機体でも、そこそこ練習すれば飛行させることができるようになります。
水平飛行では、機体が上下に移動すると、自動的に当て舵を打ってくれますからね。
一方、背面飛行では、なんともいえません。
背面飛行では、機体が上下に移動すると、逆舵を打ちますから。
 
「操縦安定性重視」の機体でも、すぐに飛行になれてしまう方もいる一方
「自立安定性重視」の機体でなければ、背面飛行の実施が困難な方も大勢いらっしゃいます。
 
ここが、背面飛行の技術習得を語る上で、難しかったところだと言えるのでしょうね。
 
 
私の先輩は、「操縦安定性重視」のタイプの方でした。
また、「自立安定性重視」の設計の飛行機はありませんでした。
先輩に飛行方法や機体設定を教わると、私にはまったく飛ばせない、背面飛行で墜落ばかり、という状態になりました。

実は、私は、「自立安定性重視」のタイプだったのです。(今となってわかりましたがね)
幸いなことに、機体設計について、基本を教えてくださる先輩がいらっしゃたので、いろいろ基本を学びました。
そこで、自分なりに、機体をいろいろ弄繰り回して、自分なりの機体を選択して背面飛行を習得したことになります。
(結局、「自立安定性重視」の機体を自分で開発する必要がありましたからね)
 
ちなみに、ブルースターは、「自立安定性重視」の機体だったと思います。
日本人独自でいろいろ考えて設計した走りの時代だったと言えるかもしれません。
イメージ 4
 
さきほど、機体の特徴で説明したとおり、「操縦安定性重視」と「自立安定性重視」では、機体の設定(設計方針)が真逆となっていますね。
     操縦安定性重視  自立安定性重視
重心位置: 約20%~25%  8%~15%
水平尾翼: 小さめ     大きめ
ハンドル: 大きめ     小さめ
舵角:   少なめ     大きめ
 
 
背面飛行の習得に励まれている方は、早めに、重心位置調整を行ってみて、自分の好みを発見して、自分の腕の特色にあわせた機体を選択すると習得もスムーズになると切に思います
「重心位置を移動させたら設計者に対して失礼になる」なんて考えてはいけません。
この場合、設計者の方に遠慮する必要はありませんので、自分好みの舵の利きとなるようにするのが大切に思います。
それで、「私は保証できない」なんて答えるような設計者の機体は・・・・・
私は、練習機としては、そのような機体は買いませんし、作りませんね。
 
 
追伸:
ある大会を見学に行ったとき、私に機体の調整や性能について問い合わせてきた方がいらっしゃいました。
その方は、「なんで、こんなふうになっているんだ」と疑問(憤慨)を持っていらっしゃって、説明に苦労しました。
このブログ記事でご理解いただければ幸いです。
 
あと、スーパープライは、「操縦安定性重視」でも「自立安定性重視」でもありません。
イメージ 5
どちらかというと、「自立安定性重視」の操縦特性を持っています。
これは、主翼がベニア板の単板である、ことが原因です。
おかげで、壊れにくく、F2B演技を消化できる性能となっているのですが。

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