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DQ MASTERでD級検定 その35 カウリングの分割ライン設計

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(タンクは仮止めなので、輪ゴムが少ないです)
 
DQ MASTERのカウリングは、DQ MASTERの生みの親、MNT氏のカウリング構造を見習って作成しています。

以前にも、「DQ MASTERでD級検定 その31 カウル付近の写真」
http://blogs.yahoo.co.jp/jpn33f134043/25882774.html
にてご紹介させていただきましたが、その機能、構造の意味、カウリングに求められる要件等については、あえて紹介しないようにしていました。
写真を見ればわかるでしょ、という意味だったのですが、やはり、理解を促進するためには、そこに至った経緯や経験、実際どうなのか?について、私の実施した範囲でご紹介したほうがよいと思い、紹介記事を書くにいたりました。
 
 
そういった意味では、あくまでも私の主観であり、MNTさんがどのように考えてこのカウリングになったのかについて説明しているわけではないことは承知しておいてください。
また、MNTさんのカウリングデザインについて批評や批判を行うつもりではまったくないことも承知しておいてくださいね。
 
 
カウリングの構造については、私はいつも設計から開始しました。
いろいろ考えることがあることは確かです。
当然、過去の名機のカウリングを参考に、いろいろ考えることから始めました。
で、作成したり、長期間使用したりして設計を見直し、現在のデザインに至っていることは確かでしょう。
 
カウリングデザインで大切なことは、機能を満たし、運用がラクで、工作がしやすく、耐久性が高く、軽量で、美しいことが求められますね。
 
MNT氏のカウリングデザインは、現在に至るまでに進化して、洗練されたデザインであり、倒立エンジンを搭載する構造の機体では、もっとも人気の高いカウリングデザインであるのではないのか?と受け止めています。
 
 
カウリング設計で、まず最初に悩むのは、分割ラインをどうするのか?になります。
カウリングの分割ラインの引き方で、強度、運用面での利便性、耐久性、工作の難易度、材料、その他モロモロの大半が決まってしまうからです。
その様子を、私の実体験から、いくつか考察してみましょう。
 
 
1)昔々に作成したカウリングの分割ライン
イメージ 3
昔々、見よう見真似で作成したカウリングのカットライン(太線)です。
一見、胴枠、マウント、ノーズリングを基準ラインに分割しているので作りやすく合理的に思われますが、様々な問題を抱えていました。
 
・作りにくい
分割ラインがくねくね曲がっていて、密着精度がなかなか出せません。
・カウリングを外すのが一苦労
マフラー、ニードルを外さないとカウリングが外せません。
メンテナンス性に大きく影響します。
飛行場では何かトラブル時や飛行前点検でカウリングを外したいのですが・・・ね!!
・カウリングが重い
カウリングが重いため、エンジン振動の影響を受けやすく、痛みやすいですね。
・ノーズの強度が足りない
強力なエンジンの振動はエンジンマウントで受け止めるだけになり、痛みやすく、共振を招いたこともあります。
マウントで受け止めた振動は、できるだけ胴枠やノーズブロックにスムーズに伝えたいところ。
そう考えると、エンジン搭載付近の側板を大きくカットしているのは不利ですね。
また、くねくね直角に曲がっている部分に応力が集中しやすいのも大問題です。
・タンクのメンテナンスが行いにくい
タンク室が深い位置にあるので、取り外しにくい。
・カウリングが振動で暴れ、エンジンに触れることでオーバーヒートを招いた
工作がしっかりしていないと、このトラブルが発生しやすいですね。
 
とまあ、ろくでもないカウリングを作成したことがあります。
昔々ね!!

2)ニードル固定を重視したカウリング
イメージ 4
 
作りやすく、カウリングを開けてメンテナンスしやすいことを重視し、特に、ニードルはメンテ時にいじりたくない、ことを重視した場合のカットラインです。
カットラインが真っ直ぐなのは、応力が集中しにくく、工作しやすく、密着精度を高めることが簡単になり、結局、丈夫で美しく工作することが可能となります。
ただ、カウリングを外すためにマフラーを外す必要が出てきます。
またマフラー取り付けビスの穴をあける必要がある場合がありますね。
(マフラーの反対側からネジを締めないといけない場合、またこの構造がとても多いですね)
もっとも、エンジン取り付けビスを飛行場で増し締めする場合は、マフラーを外しますけどね。

3)DQ MASTERで採用したカウリング
イメージ 5
 
作りやすく、実用性を考えて最終的に落ち着いたカットラインです。
 
この分割ラインですと、タンクのメンテナンスは飛行場で、その場で実施できます。
タンクは、位置調整をしたら、すぐにでも飛ばして確認したいものです。
ですから、タンクのメンテナンス性能は重要に思います。
 
しかしながら、飛行場にて、ニードルの取り外し、エンジン取り付けビスの増し締め、マフラーの取り外しは行わない前提となっています。
実際、飛行場で、ニードルの取り外し、エンジン取り付けビスの増し締め、マフラーの取り外しは、めったに行いません。
なぜなら?私の機体では、これらのトラブルがとても少ないからです。
エンジン取り付けビスは、必ずスプリングワッシャーを挟み、ビスの先は木材マウントに食い込ませて共締めしていますし、マウントプレートを用いて充分に精度を出した工作を行っています。
それでも緩むようであれば、飛行場ではなく、自宅に持ち帰ってメンテナンスすべき事案ですので、飛行場での対応はあきらめます。
マフラーも同様ですね。
マフラーも、ネジの向きに関係なく取り付けができます。
この点も扱いが楽になりますね。
 
エンジンを取り付けているエンジンマウント付近の側板を大きく残すことができ、胴枠、ノーズリングに振動を分散しやすい構造により、エンジンの振動を抑えやすいところもメリットがありますし、2)の構造に比べ、少しでもカウリングの容積が減ります。つまり軽くなる、ことでメリットがありますね。
 
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側板の縁取りのためにヒノキの板を接着しています。
この工作により、ねじれ強度が飛躍的に向上し、エンジンの振動を抑えます。
 
いわゆる、カウリングのズレを止めるノーズのノックピンを使用することをやめました。
これは、工作過程での問題が発生したためです。
カウリングは4本のビスで4箇所をしっかり固定しています。
確かにビスの本数が増えることでの重量増加のデメリットがあるのですが・・・
今後の検討事項です。
 
 
カウリングの分割ラインは、エポキシ系接着剤で充填して密着度を高める工作をしています。
このことで、髪の毛の隙間もないほどの精度で密着が可能となり、エンジン振動の伝達もスムーズなのでカウリングの耐久性も高まりますし、仕上げが美しくなります。
 
工作途中で剥離材を用いて接着するのですが・・・
剥がすときには衝撃を与えて剥がす必要があります。
このとき、ノックピンがあると・・・・
ノックピンの部分が壊れやすいのです。
結局、ノックピンを省略する構造にたどり着きました。
 
 
カウリングは、冷却気流の流れを考える以前に、構造物としての各種制約があり、一つ一つ要件を見つけ工夫しながら対処してきた技術の積み重ねがあることは確かです。
 
そのことを知っていただいて、さらなる、よりよいカウリングを作成してもらえれば幸いですね。

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