慣らし運転の状況を視覚化して理解しやすいようにグラフで表現してみることにした。
横軸にニードル開度、縦軸に運転温度、回転数、負荷を持ってきた。
グラフ内の曲線、直線は、きめ細かく各種計器を用いて計測しているわけではなく、あくまでも、このような傾向にあるのでは?
と考察した結果で線を引いている。
と考察した結果で線を引いている。
運転温度は、便宜的にニードル開度に比例して上昇する、としている。
回転数は、便宜的にニードル開度に従って上昇し、絞りすぎると回転が下がってくる様子を示している。
負荷については、出力ではなく、エンジンの負荷(プロペラ負荷+エンジン内部の摩擦)を便宜的に示していて、回転が上昇するに従いプロペラの負荷が二次曲線的に増加、回転数が落ちてくると、今度は、エンジン内の摩擦の増加に伴い、負荷が上昇するものとみなしている。
また、シャフトはベアリング支持のもので、シャフト、コンロッドの摩擦は、それほど影響していないと考えるものとしている。
(プロペラ負荷を極端に小さくした場合、例えばシャフトランでは、コンロッドのビックエンドが焼きつきやすい、つまり、PCの摩擦の増大よりも回転部分の摩擦の影響が大きくなる傾向があることが理解できますね)
(プロペラ負荷を極端に小さくした場合、例えばシャフトランでは、コンロッドのビックエンドが焼きつきやすい、つまり、PCの摩擦の増大よりも回転部分の摩擦の影響が大きくなる傾向があることが理解できますね)
色の濃い線は、実際にフライトさせての状況
色の薄い線は、負荷の軽いペラを用いてのテストベンチでの状況を示している。
色の薄い線は、負荷の軽いペラを用いてのテストベンチでの状況を示している。
負荷の軽いペラの場合、ニードルを絞る傾向になっているが、これは、回転数の上昇に伴い、キャブを通過する空気の速度が上がるため、その分、ニードルを絞っても、同じ混合比の燃料が供給されると考えることができる。
よって、慣らし運転のグラフの線は、全体的に右側に位置することになると理解できる。
よって、慣らし運転のグラフの線は、全体的に右側に位置することになると理解できる。
回転数については、実用運転よりも慣らし運転の方が回転数が高くなるが、プロペラの負荷が低いので回転数は上昇する。
また、回転計で計測できるので、理解しやすいところであろう。
負荷については実用運転負荷よりも慣らし運転負荷は多少低いものとしている。
これは、計測しているわけではないが、このようになっていないと困るよな(笑)という理由にある。
これは、計測しているわけではないが、このようになっていないと困るよな(笑)という理由にある。
運転温度については、慣らし運転の基準になり、慣らし運転のピーク回転数のときに、実用運転温度で用いる温度(茶色矢印)となることが理想、と考えて線を決定している。
運転温度と負荷の関係は、ニードル開度(混合気の濃度)とエンジンのアタリ具合に大きく影響される。
エンジンのアタリ具合が悪いとエンジン運転の摩擦が大きくなり、結果、運転温度が高くなる。
同じニードル開度であるのに、運転温度が高くなる理由は、そこにある。
また、運転温度と回転数の関係は、運転温度が高くなるに従い、回転数が高くなる(ピークの手前まで、この傾向が出る)
理由は、プラグの点火タイミングが運転温度が高いほど早期点火になる傾向になるため、と考えている。
エンジンのアタリ具合が悪いとエンジン運転の摩擦が大きくなり、結果、運転温度が高くなる。
同じニードル開度であるのに、運転温度が高くなる理由は、そこにある。
また、運転温度と回転数の関係は、運転温度が高くなるに従い、回転数が高くなる(ピークの手前まで、この傾向が出る)
理由は、プラグの点火タイミングが運転温度が高いほど早期点火になる傾向になるため、と考えている。
結果、アタリが取れてくると4サイクル運転のニードル位置で回転数が低くなってくる(そのような音に変わる)ことで実感することができる。
このグラフは、ある意味、理想的な慣らし運転の状況を示していて、実際に、このようになるように、いろいろ苦労して慣らし運転のセッティングを行っていることになる。
次のグラフは、運転温度が低いと感じた状態の慣らし運転グラフを示している。
運転温度が実用運転温度に満たないことを示している。
理想よりも、ニードルは多少絞る傾向になり、回転数は低下し、結果運転温度が降下していた。
対策としては、燃料のニトロ量を減らし、運転温度を上昇させる傾向にしたこと。
キャブレターを大きくして、より大量の混合気を供給できるようにしたこと。
プロペラの負荷を多少小さくしたこと。
を実施している。
キャブレターを大きくして、より大量の混合気を供給できるようにしたこと。
プロペラの負荷を多少小さくしたこと。
を実施している。
このことで、理想的に近いテストベンチでの運転環境に近づけたことになる。
運転温度の計測は、直接温度計等で計測していたわけではないが、オイルの焦げ方で、明らかに運転温度が上昇している、と考えることができる。
実際に、慣らし運転温度が実用運転温度と一致しているかどうかは、現状の経験ではなんともいえない。
ただ、他の大型エンジンのオイルの焼け方等で、同様と思われる焦げかたとなっているので、まあ、大丈夫だろう、と考えているが、今のところなんともいえない。
ただ、他の大型エンジンのオイルの焼け方等で、同様と思われる焦げかたとなっているので、まあ、大丈夫だろう、と考えているが、今のところなんともいえない。
このように事象をグラフ化して視覚化できるように考え方を整理しておくと、経験の積み方が慎重になり、有効な情報を得やすく、また、気がつくことも多くなる。
効率よく経験を積みやすくなると思う。
効率よく経験を積みやすくなると思う。
もっとも、まちがったグラフは、思い込みになってしまって、かえって間違った解釈に固執することになるので、充分に注意が必要なのだが(笑)
結局、軽い負荷のプロペラでピーク回転数を出したときに、実用運転温度と同じ程度になるようにプロペラ等を選択するのが、テストベンチでの慣らし運転のコツである、ということが理解できる。
このプロペラの選択については、経験を積んで、適切なプロペラを選択できるようにスキルを積む必要があるが、私の場合、実用プロペラよりも2インチ小さい、ピッチの低いプロペラを目安に選択している。
とはいっても、今回は、このセオリーに従ったが、まだプロペラ負荷が大きすぎ、より負荷の低いプロペラに変更した。
まだまだ、修行が足りないと思う、今日このごろ、なのである。