Uコンのスタント機向けのエンジンは他の目的で使用されているエンジンよりも軽量で、その分とても華奢なクランクケースで実現されている。
なぜ？軽量なのか？については、クラス別ワイヤーテンションの考察、で語っているとおりのことなのだが。
この場合、なぜ軽量なのか？というよりも、軽量であることを求めている、と考えたほうがよいのだろう。
軽量であるがゆえに、エンジンの各種強度は相対的に弱くなり、結果として扱いについて注意する必要性が出てくる。
扱いが悪いと、すぐエンジンがオーバーヒートしたり、飛行中に回転が安定しなかったり、2-4-2での回転が実現できなかったりする。
いまでこそ、この原則がわかっているので「扱い方」に気をつけ問題なく使用できるようになってきているのだが、わからない当時は大変な思いをしたものである。
私自身がこのことに気がついたのは、初めて４５クラスのエンジンを扱ったときになる。
高校生時代になるのだが。
扱ったのはENYA45S、１台目は、結果としては慣らし運転がダメだった。
ここで学んだことは、
「エンジンを何とかしよう 鉄ピストンのエンジンの慣らしの場合」に相当する。
このことは、別にクランクケースが華奢であろうが丈夫であろうが変わりないので、今回のテーマからは外れる。
２台目は、テストベンチでの慣らし運転も慎重に行い、問題ないように思えるレベルまでに仕上げることができた。
喜び勇んで機体に搭載し、飛行させてみたのだがうまく回らない。
オーバーヒートしたり2-4-2で綺麗に回ってくれないのだ。
ある日、エンジンのフロントハウジングを外して機体に搭載し、コンロッドを上下させてみると・・・・
明らかに動きが渋い。
ためしに、エンジン取り付けボルトを緩めてから同様のテストをしてみると・・・
動きがスムーズになった？
なんで？
ということで、もう一度ボルトを締めなおすと・・・
やはり動きが渋くなった。
ここで気がついた、ボルトを締めるとクランクケースがゆがみ、エンジンの微妙なクリアランスが狂ってしまうことを。
ボルトを締めるとクランクケースがゆがんでしまっていたのだ。
ということは、エンジン取り付けラグとエンジンマウントがぴったりとしていない、ということに気がついた。
ENYA４５Ｓのエンジン取り付けラグが完全に平行に加工されているのかというと・・・・
怪しい。たぶん平行に平面に加工されているのだろう？というレベル。
ならば、エンジンにマウントプレートを取り付けて、機体のマウント側でつじつまあわせを行えばよいのではないのか？
ということで見つけ出した方法が、
「Uコンスタント機の工作の工夫、勘所 その１ （マウントプレートの工夫）」
ということになる。
この２つのノウハウによりエンジンが綺麗に回ってくれるようになった。
当時のENYA45Sは、結果、１２×５のプロペラを楽々に回し綺麗に2-4-2でスイッチングするようになった。
もちろん、上記２点のノウハウだけとは限らないが、エンジンを丁寧に扱うことで実現できるようになったものと思う。
ちなみに、RCヘリ用のエンジンは、高出力であるがゆえにクランクケースは丈夫で重い。
では、エンジンマウントは？と見てみると、練習機でコストをできるだけ削減したい機体にもかかわらず、コストのかかる金属性のマウントで組み立てるようになっている。
エンジニアリングプラスチックの技術も高度化してきているし、なにもエンジンマウントを金属製にしなくても、とも思うが、やはり金属製の削りだしマウントを用いている。
また、OSでは、推奨するエンジンマウントはアルミ製のマウントとなっており、そのほかは推奨していない。
これらは、何を意味しているのであろうか？
Uコン飛行機の工作でOSのアルミマウントを用いなさい、とは言わないが、その分、きちんと意味を理解して、正しく機能を実現する方法を見つけ出して工夫することができれば、軽量で丈夫なエンジンマウントは実現できるであろう。
きちんと理解して、正しく工作することでこれらの問題は克服することができることを理解してもらいたい。
もちろん、「この加工方法でないといけない」ということはいうつもりではない。
ほかにもいろいろ方法があることは確かだろうし、工夫の仕方はいろいろあるだろう。
できるだけ簡単な工作で、とか、もっと軽量でよい方法が、なんてことはいくらでもありえる。
ただ、「エンジンが綺麗に回らない」「オーバーヒートしやすい」なんてことが発生した場合には、この辺のノウハウに立ち戻って考えてみてもらいたいと思う。