スーパープライEp-Z　着陸へのアプローチ

滑空性能は、主翼の揚抗比が大きいほど遠くに飛行することができる。

これは、航空力学の各種書籍を読むとすぐに理解できるところなのですが、Uコンの場合はどうなのでしょうか？

 

Uコンの主翼はグライダーや他のジャンルの機体に比べ、揚抗比が小さめの傾向があります。
これは、各種スタント機の進化の過程から必然的に「適正な」揚抗比が求められ支持されていることから理解できるところでしょう。

さて、スーパープライEp-Zの場合はどうでしょうか？
ただでさえ揚抗比の小さい、「平らな翼型」を用いていますし、滑空時にはフラップの揚力補助も期待できません。
よって、フラップで揚力を発生させることに頼ることができない着陸の滑空時には、非常に不利に思います。
事実、スーパープライのエンジン停止後は、その低い揚抗比故に、「滑空せずに石となる」なんて評判もあるようですしね。

 

そのようなスーパープライですが、今回のスーパープライEp-Zではどうなのでしょうか？
RcAirplane氏の感触では、「オリジナルのスーパープライよりもスーパープライEp-Zのほうがはるかに滑空する感触がある」とのこと。
これは、宙返りの上り具合、下り具合の速度変化でも実感されるようで、上りやすくスムーズに降下するので2回目の宙返りに入れやすい、とのこと。

これは、楕円翼により無駄な抵抗を減らす効果が案外大きい、結果、多少ではあるが揚抗比が大きくなった、と理解することはできるでしょうね。
楕円翼、恐るべし、侮れませんね。

 

 

さてさて、そのような「滑空比が小さい機体」でも、できるだけFAIルールに定められた綺麗な着陸を行いたいものです。
どのように実施したら高度1.5ｍ±0.3ｍから1周の地点で接地させることができるのでしょうか？

 

これは、設計のアプローチと操縦テクニックでのアプローチの２つの方法があります。

今回は、操縦テクニックでのアプローチについて考察してみましょう。

 

私は、機体の調整飛行の時に機体の滑空角を計測するフライトを行うことを心がけています。
滑空角が判明すれば、必然的に揚抗比も逆算して求めることができます。
もちろん、これは、正規のルールに従った着陸、ではなく、機体の性能を評価するために実施しているのですがね。

 

方法は簡単で、エンジン停止する高度を高めにして（5ｍ～60度）、エンジン停止後、すばやく一定の沈下率の姿勢に入れて滑空させ、どの地点で接地するのか、その時の降下角度はどの程度なのか？を計測します。
このとき、丁度1周の地点で接地すれば、その機体が1周の滑空で消費するエネルギーはどの程度なのか？が理解できますね。

 

ルールに従った飛行経路を実現するためには、高度1.5ｍ±0.3ｍの高度から1周の地点で接地させる必要があります。
一定の沈下率に入れて1周後に接地されるさせることができるような優秀な揚抗比のスタント機はなかなか存在しません。
大抵は5ｍ程度の高度から一定の沈下率で降下させ、ようやっと１周後に接地することができる程度の性能になっています。
つまり、高度1.5ｍ±0.3ｍの高度からそのまま一定の沈下率で飛行させても１周の距離には達しない事は明らかです。

そのためには、何らかの運動エネルギーを供給しなければ無理、ということが理解できます、プロペラは停止しているくせにね。

 

そこで、運動エネルギーを与えれば、可能になるのでは？と考えることができます。

この場合、運動エネルギーを与える方法は２つあります。

 

１）位置エネルギーを余計に蓄え運動エネルギーに変換させてエネルギー供給を行う。
難しく書いていますが、簡単なことで、エンジン停止時の高度を高め（5ｍ程度）にしておいて、停止後急降下させて加速、高度１.5ｍで滑らかに引き起こし、滑空に入れる、という方法です。
この方法は、結構、どのような機体でも有効です。

もちろん、スーパープライのような揚抗比の低い機体は、もっと高めの高度から狙わないといけない事は容易に理解できるところでしょう。

 

２）ウイップにより速度の減速を防ぎながら滑空距離を稼ぐ。
この方法は、ウイップでの加速の得意不得意の機体に分類されます。
ウイップでの加速が不利な機体は、あまり期待できない方法ですね。
ちなみにスーパープライはウイップには不利です。

 

大抵は、１）と２）を併用して着陸させるように飛行させるパターンが多い傾向がありました。
この場合、調整飛行で一定の沈下率で１周後に接地する高度でエンジン停止まで待機させ、滑らかに降下させれば、多少のウイップで綺麗に１周後に接地させやすくなります。
まあ、飛行経路を滑らかにするように多少の練習は必要ですがね。

 

ところが、実はウイップのみで高度1.5ｍ±0.3ｍの高度から1周の地点で接地させることができることがわかってきました。
実は、昨年の世界選手権チャンピオンのイゴア氏のフライトビデオで、そのように見事に飛行させていたのです。
私は無理だと思っていたのですが、衝撃的でしたね。

 

ちなみに、先日の八潮で開催された大会で同様の着陸テクニックを披露された方がいました。
第2種で優勝された、横山氏です。機体はKMCOグラマン１５。
やはり衝撃的でしたね。

 

さて、エンジン停止後、ウイップ飛行で何週まで飛行させることができるのでしょうか？
こんな馬鹿げた試みを学生時代に行ったことがあります。

結果としては、なんと、「２１周」です。
私の先輩がスーパーハリケーンで記録を残しています。
その代わり、飛行サークルを目いっぱい使って走り回って実現したのですがね。

操縦者のサークルからはみ出ないでウイップする、という制限では1周程度はウイップでも滑空可能、といったところでしょうかね。

（操縦サークルをはみ出て飛行させると、なんらかの減点、失格の対象となりますので注意が必要です。危険ですしね）

 

スーパープライEp-Zですか？
当然、ウイップして・・・・は無理でしょうから高い高度からダイブさせて、とすれば規定の滑空距離は稼げるのではないでしょうか？
ダメだったら設計しなおしか？
（RcAirplane氏曰く、もう作る必要はないと思います。スタントマシンに移行しますんで・・・ごもっともですハイ、スーパープライは墜落してもなかなか壊れず、修理可能ですからね）