Uコンは、ワイヤーで繋がっていて円周上を飛行することから、胴体よりも円周内側の翼(内翼)と円周外側の翼(外翼)の長さは異なっている。
なぜなら、内翼と外翼の飛行速度が微妙に異なり、速度差により発生する揚力や抗力(要するに空気力)が異なってくることになる。
なぜなら、内翼と外翼の飛行速度が微妙に異なり、速度差により発生する揚力や抗力(要するに空気力)が異なってくることになる。
当然、左右同じ長さにした場合、重量分布が左右均等の場合は、ロール軸、ヨーイング軸方向に傾くことになる。
そこで、空気力の発生が小さい内翼の長さを多少長くして空気力を稼ぎ、傾きが発生しないように工夫されている。
今回は、ローリング軸方向に影響する内翼、外翼の揚力分布を仮想的にシミュレーションし、左右の翼の長さの差はどの程度になるのか?について計算してみることにした。
ちなみに、一旦、まじめに計算してみると、結構大変な計算で、簡単に方程式が見つからず、苦労することがわかった。
以下、計算の方針を示す。
考え方は、主翼全体の揚力分布を形ある面積で表現した場合、その面積重心が内翼、外翼の境界線となるようにすれば、ロール軸で傾かない、と考えることができる。
では、その揚力分布をどのように計算するのか?それをどのように集計して面積重心を求めるのか?ということで、いろいろ工夫努力してみた。
では、その揚力分布をどのように計算するのか?それをどのように集計して面積重心を求めるのか?ということで、いろいろ工夫努力してみた。
最初は、案外簡単!!なんて考えていたが・・・・・
計算方法は、主翼を左右方向に1cmずつに刻み、その部分の翼弦長、予想揚力係数、速度から揚力を求め、内翼、外翼の予想揚力を合計していって、ほぼ一致する位置が揚力の面積重心を通る翼弦、つまり主翼の中心とみなすことができるだろう、と考えた。
いわゆる積分の計算を行うことになる。
この場合、解像度は1cm単位となる。
(当然、1mm刻みで計算すれば、もっと精度が高くなるのだが、計算が大変)
いわゆる積分の計算を行うことになる。
この場合、解像度は1cm単位となる。
(当然、1mm刻みで計算すれば、もっと精度が高くなるのだが、計算が大変)
また、周回秒数は、4.8秒/周、予想揚力合計は、機体重量と同じになり、各揚力係数は、左右均等に分布、揚力係数は経験で求めた約0.1程度、翼弦長は25cmの矩形翼、翼長は160cm、ワイヤーの長さは18.6mとした。
これは、45クラスの機体の寸法となる。
これは、45クラスの機体の寸法となる。
計算は、表計算ソフトEXCELとマクロを用いて作成することにした。
計算式の数は160×3+4つ、つまり490個程度になる。これらを手計算ではやってられないからだ。
計算式の数は160×3+4つ、つまり490個程度になる。これらを手計算ではやってられないからだ。
翼長1.6m 速度差は約2.1m/s 翼面積は約40dm2,全揚力(機体重量)1415g
となっている。
翼端付近の揚力係数は、効率が悪いので小さくなっている。
さて、行がとても多いので、その間の数字の分布は折れ線グラフで確認してみよう。
翼弦長は、全て25cm つまり、矩形翼 としている。
揚力係数は0.09とし、左右対称の分布とした。
翼端に関しては、効率が下がることを考え、多少値を小さくしている。
本来は、翼端、胴体付近の揚力係数は小さくなる傾向になり、なだらかな曲線を描く。
揚力は、速度の2乗に比例するため、グラフは直線に見えるが、実は微妙なカーブを描いている。
翼端は、揚力の発生が少ない。
外翼のほうが、速度が速いので、揚力が大きくなっているのが判る。
この面積の重心を通る翼弦の場所が、水平飛行時にロール軸が傾かない、バランスの取れた位置になる。
黄色線が、面積重心の翼弦長(つまり、主翼の中心)
オレンジ色が、揚力分布の面積重心が存在する翼弦長
2cm~3cmの間に存在する。
矢印は、揚力を内翼先端から、外翼先端から、それぞれ積算している。
ほぼ値が一致した地点に揚力分布の面積重心が存在することになる。
これは、数学でいう、積分、極限の考え方に従って計算している。
計算した結果は、翼の中心線は、主翼面積の中心よりも、外翼側に2cm~3cmの間に揚力分布の面積重心が存在することが判明した。
実際、左右の翼の長さは1インチの長さの差をつけると具合がよい、という伝説があるが、計算しても、そのような結果となり、ほっとした次第になる。