このお話は、大戦中の戦闘機開発でのお話になります。
対象は、スピットファイアー、ゼロ戦、隼、となります。
対象は、スピットファイアー、ゼロ戦、隼、となります。
これらの戦闘機の開発時期は、複葉機から低翼単葉に移行した時代となります。
複葉機から脱却した理由は、「速度を上げたいから」という時代のニーズがあり、必然的に抵抗の大きい複葉機は不利である、という見識から、低翼単葉に移行するための各種研究がなされていた時代となります。
その結果として、技術が確立して成果が得られた代表的な機体をピックアップすると、上記、3機種としました。(他にもいろいろありますが、とりあえず、ということで)
その結果として、技術が確立して成果が得られた代表的な機体をピックアップすると、上記、3機種としました。(他にもいろいろありますが、とりあえず、ということで)
この3機は、当時の代表的な技術が含まれています。
まず、スピットファイアー
この機体の平面形は、当時発表されていたプラントルの揚力線理論に基づいて設計された主翼平面形となっているのは有名なところでしょう。
この機体の平面形は、当時発表されていたプラントルの揚力線理論に基づいて設計された主翼平面形となっているのは有名なところでしょう。
プラントルの揚力線理論についての詳細については、以下を参照願います。
人力飛行機を実現する原理[プラントルの揚力線理論]
(アスペクト比と揚力/誘導抗力比)
http://fnorio.com/0117man_powered_aeroplane0/man_powered_aeroplane0.html
人力飛行機を実現する原理[プラントルの揚力線理論]
(アスペクト比と揚力/誘導抗力比)
http://fnorio.com/0117man_powered_aeroplane0/man_powered_aeroplane0.html
なにやら、とても難しいことが書かれていますが・・・・
さてさて、プラントルの揚力線理論をどのように解釈するのか?
ですが、私は、結局、主翼の翼弦方向に綺麗に気流を流すために最適な平面形、と解釈しています。
ですが、私は、結局、主翼の翼弦方向に綺麗に気流を流すために最適な平面形、と解釈しています。
主翼は、揚力を発生している状態で、翼型に沿って気流が流れますが、平面で見た場合、圧力分布に従って、流れの方向が左右に変化することになりますね。
なぜ?主翼の翼弦方向に綺麗に気流を流す、ことが有利になるのか、メリットは何なのか?
については、一般的に語られているとおり、誘導抗力が小さくなり揚抗比が大きくなる、ということなんですが・・・・
については、一般的に語られているとおり、誘導抗力が小さくなり揚抗比が大きくなる、ということなんですが・・・・
私が思うに、翼型設計のとおりに気流が流れるため、翼型設計の性能見込みが実現しやすい、という設計者の事情は大きかったと思います。
翼表面の気流が左右に流れた場合、実質的に翼型は変更されたことになると解釈できます、
ということは、それらを全て計算するのは、無理、ということにもなると思いますし、設計の意図から外れる機体は作成したくない、と考えることはできるでしょうね。
この辺は、ユーザーに見せられない設計者の裏事情になるのかもしれません。
ということは、それらを全て計算するのは、無理、ということにもなると思いますし、設計の意図から外れる機体は作成したくない、と考えることはできるでしょうね。
この辺は、ユーザーに見せられない設計者の裏事情になるのかもしれません。
ともあれ、スピットファイアーは、その流麗な平面形、しかし、とても工作しにくい、を我慢して作成して英本土の上空を守ったのは、あまりにも有名なお話ですね。
一方、日本のゼロ戦は、プラントルの揚力線理論を意識はしていましたが、工作を単純化して、プラントルの揚力線理論の効果が出るようにテーパー翼を採用していましたね。
世界の主流の戦闘機はテーパー翼が多いのは、量産と性能の兼ね合いからテーパー翼を採用したのは、皆さんのご存知の通りです。
世界の主流の戦闘機はテーパー翼が多いのは、量産と性能の兼ね合いからテーパー翼を採用したのは、皆さんのご存知の通りです。
ところで、隼ですが・・・・
一見、テーパー翼で、ゼロ戦と同じじゃないのか?
と思われますが、実は、大きく違う、日本独特の発想と設計を行っていました。
と思われますが、実は、大きく違う、日本独特の発想と設計を行っていました。
当然、プラントルの揚力線理論を意識はしていましたが、それを鵜呑みにして採用せず、もっと違った観点から設計していたと考えています。
それは、現場からのニーズに答えようとした結果、苦心の上出来上がった設計である、ともいえるでしょう。
つまり、現場のニーズを最優先にし、科学技術は、そのために奉仕を行う、という発想でしょうかね。
それは、現場からのニーズに答えようとした結果、苦心の上出来上がった設計である、ともいえるでしょう。
つまり、現場のニーズを最優先にし、科学技術は、そのために奉仕を行う、という発想でしょうかね。
さて、隼の翼平面形の特徴ですが、テーパー翼なんですが、前縁は後退していなく、後縁のみが強い前進角がついています。
結果、翼端側から流れた気流は、中央部に向かって横滑りをするようになります。
これを、インフローと呼んでいますがね。
これを、インフローと呼んでいますがね。
あれあれ、翼型に沿って流れないから、翼型設計から状態が外れるんじゃないの?
なんてことは、どうでもいい、それよりも、実際にパイロットの意見、見識が大切、ということだったようです。
なんてことは、どうでもいい、それよりも、実際にパイロットの意見、見識が大切、ということだったようです。
実際、テストパイロットの「この飛行機は操縦桿を引くと翼にタコがはりつく」との言葉で、主翼を全面的に改正し、「タコはいなくなった」とのやり取りがあったとか。
(多分、平面形は変えずに翼型を変更していたのでは?と考えていますが)
今更ながら、テストパイロットが言葉にした「タコ」とはなんぞや?
と、いろいろ考えを巡らしたのですが、私なりの解釈では、「失速特性を改善しなさい」ということだったように思います。
ただ、残念ながら、この逸話に関わった方々は、既に他界されていますので、確認しようがありません。
ですから、私の解釈の真偽は、残念ながらわかりません。
実は、隼の平面形の発想は、複葉機の理論を用いていました。
複葉機は、上の翼と下の翼で目的が違う設計となっていました。
そうしないと失速時に危険なわけですが、
上の翼は安定のため、下の翼は揚力を稼ぐため、が大きな目的になっています。
そうしないと失速時に危険なわけですが、
上の翼は安定のため、下の翼は揚力を稼ぐため、が大きな目的になっています。
Uコンの複葉機の設計の要は、上の翼は、わずかに取り付け角をマイナスにする、ということがありますが、これが、まさに、上の翼と下の翼で目的が違う設計、となるわけです。
では、隼では、どのように考えたのか?ですが
翼端側は複葉機の上の翼の目的とし、中央側は下の翼の目的となるように、と配慮して設計した結果、前縁は直線で後縁は強い前縁テーパーとなったわけです。
プラントルの揚力線理論の「翼型設計のとおりに気流が流れるため、翼型設計の性能見込みが実現しやすい」という理論先行の考え方にはこだわらなかった、と言えますね。
また、蝶型フラップを装備して、と涙ぐましい努力を行ったわけです。
その結果、当時のテストパイロットの強い要望であった、「旋回性能」を高い次元で実現することになったのですが・・・・
では、実際に、Uコンで隼のような平面形は採用されているのか?
というと、そうでもないようです。
ヨーロッパタイプのコンバット機は、採用していますが、スタント機では皆無に等しい?
(そういえば、フランスのスタント機では、近い平面形のスタント機が飛んでいるな・・・)
これは、実際にコーナーターンを飛行させるとわかりますが、
隼タイプの平面形の場合、翼端失速は防ぐことはできるのですが、ヨーイングが発生して揺れやすい、収まりにくい、という欠点が出てきます。
これを解決するためには、翼端失速が発生しにくくなる程度で前縁を後退させる、ということになり、一般的なテーパー翼となるわけですね。
隼タイプの平面形の場合、翼端失速は防ぐことはできるのですが、ヨーイングが発生して揺れやすい、収まりにくい、という欠点が出てきます。
これを解決するためには、翼端失速が発生しにくくなる程度で前縁を後退させる、ということになり、一般的なテーパー翼となるわけですね。
私も、学生時代に、簡単なテスト機を作成して飛行させました。
前縁~スパーまでは発泡スチロールとした、ヨーロッパコンバット機のようなスタント機です。
最初は、前縁は後退角なし、次は、翼端に向かって削りなおし、前縁に後退角をつけて作り直す、といった手順でテストしてみましたが、上記現象は確認できました。
前縁~スパーまでは発泡スチロールとした、ヨーロッパコンバット機のようなスタント機です。
最初は、前縁は後退角なし、次は、翼端に向かって削りなおし、前縁に後退角をつけて作り直す、といった手順でテストしてみましたが、上記現象は確認できました。
ところで、前縁テーパーが比較的大きいUコンスタント機の名機は、やはりインパクトになるでしょうね。
今、作成しているので、どのように飛行するのか?とても楽しみですね。
今、作成しているので、どのように飛行するのか?とても楽しみですね。