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近代スタント機に学ぶ(インパクト編) その20 ビームマウントの作り直し

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作成しなおしたインパクトのIビームマウントパーツ。
上が設計図のまま。
下が工作で工夫したもの。
肉抜き形状がわかりやすいように、マウントジョイントパーツと下のマウント材は90度回転させている。
 
久々にインパクトの工作を再開した。
とりあえず、インパクトの工作を中断している最中に、多数の機体が完成した。
そこで、折角習得した工作ノウハウが向上したので、できる範囲で、作り直しを行うことにした。
 
 
そのうちの一つが、エンジンマウントになる。
 
Iビームエンジンマウントは、SH4B、DQ MASTERと作成したが、より軽量化と強度の確保の確立ができてきていることが確認できている。
そこで、インパクトについても同様に工作しなおすことにした。
 
写真上のマウントパーツは、一般的なIビームマウントの材料
肉抜きは一切していないので、重量は53gとなっている。
 
一方、下のインパクト用に作成しなおしたマウントパーツの材料
強度の確保を考え、肉抜きを行って29gとなった。
 
その差24g、つまり、約半分の重量までそぎ落とすことができた。
 
 
エンジンマウントの素材は、比重の高い桜材になるが、容積を減らすことができれば、その分軽量化の効果も大きい。
この辺は、比重の軽いバルサの比ではない。
バルサで29g軽くするとなると、900mmサイズの3mmバルサ一枚分の容積になる。
つまり、側板一枚分以上の重量に相当することになるから驚きだ。
 
一方、むやみに肉抜きしたとしても、肝心の強度は落ちることになるので注意が必要だ。
 
今回の肉抜きパターンは、様々な試行錯誤からたどり着いたパターンになる。
 
もともと、強度が余りすぎているところは結構多い。
さすがに強度不足、ということはほとんどないのだが、強度分布が偏っている、とみなすところもある。
 
Iビームマウントの場合、もともと強度があまっていることと、強度分布が偏っている代表的な構造に思える。
確かに、工作もしやすく、精度も出しやすく、必要強度を充分に確保できる、Uコン独特の構造ともいえるが、いろいろ問題もあり、過去に様々なトラブルを経験したことも確かだ。
かといって、他のマウント形式(例えばアルミ製のラジアルマウント等)に置き換えたとしても、結局、重くなる、工作が大変、精度が出にくい(特にスラストライン)と欠点ばかりになってしまうことが多い。
 
Iビームマウントの強度的な弱点は、「捩れやすい」ということのなる。
エンジンのトルク軸方向の振動については、マウントのねじれ強度が足りず、その反動で華奢なクランクケースに応力が集中することになる。
エンジン不調となっている原因はここに起因していることが多いし、実際、それでトラブルを経験している。
 
これを改善するために行っている工夫が、左右のマウントを繋げる短い桜材の角材となる。
この角材を木ネジと接着剤でしっかり固定することで、格段とねじれ強度が向上することになる。
 
また、マウント材は、側板側から肉抜きを行っている。
これも、また、ねじれ強度を確保して肉抜きするには?という考えで到達した結果になっている。
また、側板と接着する際に、接着剤を多少減らすことができる(接着面積の減少)という副産物もあるが。
 
もう一つ、肉抜き穴によって、固有振動を分散できる、つまり共振しにくい、という利点もある。
 
マウント材は、ノーズリングに達する長さとしている。
これもまた、ねじれ強度向上の工夫になっている。
ノーズリングも、ねじれ強度向上のパーツとして有効に利用するわけだ。
 
エンジンの振動を効率よく機体の外皮に伝える、工作可能な、できるだけ最小限の容積で、となると、今回の形状にたどりついたことになった。
ただ、むやみに軽量化しても、機体全体の重量バランスが狂うことも確かだ。
マウントを軽量化しても、テール側がそのままでは、重心位置がむやみに下がってしまう。
このとき威力を発揮するのが、重量バランスを計算するパーツリストになる。
パーツリストで重量分布の見直しを行いながら、できるだけ軽量化を積み重ねる。
 
これが、結局、全体的な軽量化ができ、重心位置の変動も少なくする方法となるのだろう。
 
ちなみに、戦時中の戦闘機開発では、重量管理は手計算をしていたらしい。
(もちろんPCや電卓はないが、他の計算支援の計算機はあったようだが)
計算式は単純だが、なんといっても部品点数が多いので集計が大変だったと思う。
設計部署で重量管理を専門にスタッフを揃えていたとも聞いている。
現代では、EXCEL等で集計できるので、なんとか一人でやり切れるのだが、
まあ、大変なことは確かだが、得られる成果も大きい。

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