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各種空力特性の考察 ボルテックスジェネレーターの利用価値

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写真は、私の設計の機体にボルテックスジェネレーターを装着した状態の写真
翼弦長(フラップを含む)の50%の位置に高さ5mmの出っ張りをつけている。
形状は、効率よく渦流を発生する形状とし、15度程度交互に傾けて
片翼の中央付近に3個取り付けてみたもの
 
 
ボルテックスジェネレーター、いろいろ流行っているようですが、その効果のほどは?
ということで、その原理、事例、等について紹介してみましょうかね。
 
ボルテックスジェネレーターと始めて出あったのは、高校時代に先輩の機体に装着されていたのが初めてです。
とはいっても、現在流行っている形式ではなく、前縁に板を張ったものだったのですがね。
 
その当時から、知る人ぞ知る技術だったわけです。
 
効果は充分に発揮されて、失速しにくくなり、旋回時の沈み込みも少なくなり、特に角モノのコーナーターンでの浮きがよくなり、外から見ていても効果があることを実感できました。
 
 
さて、ボルテックスジェネレーターの原理、目的ですが、
「境界層の外側の気流を翼表面に導くことで、境界層の気流の運動エネルギーを補い、剥離しにくくする。」
です。
 
境界層の気流の状態というのは、
層流->乱流->剥離
と3段階で遷移します。
ボルテックスジェネレーターは層流から強制的に乱流にする装置、ともいえますが、
飛行機以外の分野では、いきなり気流を剥離させ、空気の力の影響を少なくさせる、なんて目的でも用いられているようです。
この場合は
層流->剥離
と2段階での遷移を期待できるように工夫されているわけです。
身近なところでは、ゴルフボールのディンプル、ちょっと縁遠いですが、槍投げ競技の尻尾についたトゲトゲなんかが相当しますね。
 
 
さて、Uコンスタント機でボルテックスジェネレーターを用いる目的ですが、
工作された機体の各種空力的な不具合を補正できる可能性がある、だから用いる。
です。
 
実機では、もっといろいろな目的で、積極的に装着して活用する事例もありますが、不具合の補正目的の事例が結構多いように思います。
設計で積極的にボルテックスジェネレーターを用いる事例は、少数ともいえます。
(飛行機設計では、必然的にこうなる、という設計理由で、始めて採用される。それだけ無駄を極端に嫌った設計になっている。もっとも、「無駄」を間違えると・・・・・)
(もっとも、ボルテックスジェネレーターはまったく無駄か?というと、そうでない事例もあるのでしょう。積極的に初期設計の段階で採用されている事例があります。もっとも、その流行は戦後の航空機設計の時代になっていますがね。)
 
ということで、私の経験ですが・・・・・・・・・・・
 
ある日、友人が、「ボルテックスジェネレーターをつけてみようよ」
と言ってきました。
私が、「えっ!!なにか不具合でもあるの、コーナーターンで沈んだりするの?」と確認すると
「いや、そんなことはないけど、流行っているようだし、競技会で、目立つじゃん」
とのこと。
 
まあそうか、確かに目立つよな、アピールできるしな。
と受け止め、早速、計算・・・
した結果、ほとんど効果はないことは判明しましたが、逆に悪さもしないことが明らかになりました。
 
ということで、効果のあるボルテックスジェネレーターの形状と大きさを計算、そのとおり取り付けて飛行させました。
 
結果は?
「たいした変わらないじゃないか。」
「なぜ?巷では効果が大きいと騒がれているじゃん」
ということになりました。
 
理由は簡単で、翼型設計が最適化されていて、工作精度も充分に確保されています。
よって、ボルテックスジェネレーターに頼らずとも充分に性能を発揮しているだけなんですが、
逆に、特に悪さはしていない、という結果もありがたいところでしょうね。
 
当初の目的、「目立つことでアピールできる」は、充分に達成できたのです。
 
ちなみに、実機向けで実績のある翼型、有名なところではNACA0018等になりますが、
この場合は、積極的にボルテックスジェネレーターを用いて空力性能を改善すると、とても効果があります。
不思議ですよね。
 
根本的な違いは、「レイノルズ数が極端に異なっているため」なんですがね。
 
あと、Uコンよりももっとレイノルズ数が小さい場合、こうなってくると、明らかにボルテックスジェネレーターの効果を用いることで空力特性が劇的に改善されてきます。
 
ハンドランチグライダーでは、段差はとても有効ですし、昆虫の世界になってくると、一見無意味に見えるような凸凹を無くすと飛べなくなる、なんて現象が出てきますね。
 
TV番組で「超絶 凄ワザ」ってやってますが、紙飛行機編で、トンボの羽の仕組みを応用して効果を出した事例が紹介されていましたね。
 

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